不動産買取で損しないために知るべき基礎知識|仲介との違いと仕組み

仲介と買取は「買主が誰か」が違い、手取りとスピードが変わる
仲介(媒介)売却と不動産買取では、取引の構造が大きく異なります。
その違いを理解することが損を防ぐ第一歩です。仲介では、売主が不動産会社(仲介業者)に買主探しを依頼し、買主が見つかって初めて売買契約が成立します。
このため、売却完了までに3~6か月程度かかるのが一般的です(*1)。売却が成立すると、宅地建物取引業法で定められた上限の仲介手数料を不動産会社に支払います。
なお、売買価格が400万円超の場合の上限は、「取引額の3%+6万円+消費税」の速算式が用いられます。
一方で不動産買取は、売主が不動産会社に直接売却する方法のため、提示額に合意できれば手続きがシンプルで、早ければ数日〜1か月程度で現金化まで進みます。仲介手数料も発生しません。
なお、受け取る買取価格は、業者側が再販コストや利益を織り込む分、市場相場の7〜8割程度になりやすい点は押さえておきましょう(*2)。
そのため、価格だけでなく、仲介手数料や売却までの維持費・時間も含めて「手取り」と「スピード」で比較することが重要です。
買取が向く人・向かない人は「期限」と「物件状態」で決まる
買取が向く人・向かない人は、主に「いつまでに売りたいか(期限)」と「物件の状態」によって分かれます。
急ぐ事情がある人・状態に難がある物件ほど買取が相性がよく、時間に余裕があり需要が見込める物件は、仲介のほうが高値を狙いやすい傾向があります。
| 判断軸 | 買取が向く | 仲介が向く |
|---|---|---|
| 期限(スピード) | 早く現金化したい(数日〜1か月目安) | 急いでおらず時間をかけられる(3〜6か月目安) |
| 物件状態 | 築古・設備不良などで現状売却したい | 築浅・人気条件で需要が見込める |
| 手間・事情 | 内覧・広告などの手間を避けたい/周囲に知られず売りたい | 売却活動に協力でき、市場で高値を狙いたい |
● 買取が適しているケース
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- できるだけ早く現金化したい(転勤や資金需要で売却を急ぐ場合)。
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- 築年数が古い・設備不良など物件の状態に難がある(仲介では修繕やリフォームが必要でも、買取なら現状のまま売却可能)。
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- 内覧対応や広告掲載など売却活動の手間を省きたい(遠方の空き家や相続物件の処分を急ぎたい場合など)。
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- 周囲に知られずに秘密裏に売却したい(近隣に売却を知られたくない、周囲に内緒で処分したい場合)。
● 買取を避けた方がよいケース
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- 売却を急いでおらず、できるだけ高く売りたい(人気エリアや築浅物件などは仲介で市場価格での売却を目指す方が有利)。
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- 買主が見つかる見込みが高く、相場価格で売却できそう(市場に出しても十分に需要が見込める物件は仲介の方が手取りが多くなります)。
不動産買取の流れ|査定から契約・引き渡しまで一連の手順

査定は「机上→訪問」の2段階で、訪問が最終価格になる
不動産買取の手順は、まず簡易査定(机上査定)から始まります。
物件の所在地・面積・築年数など基本情報をもとに、過去の取引データや公示地価などを参考に概算の査定価格を算出する方法です。訪問を伴わずに依頼でき、当日〜数日程度で結果が出ることもありますが、提示される価格はあくまで目安に過ぎません。
続いて不動産会社による訪問査定(詳細査定)へ進み、担当者が現地で物件の状態や周辺環境を詳しく確認したうえで、買取価格の最終候補(以降の条件調整のベースとなる金額)が提示されます。
訪問査定は精度が高く、提示額に売主が納得すれば具体的な契約手続きに移ります(査定はいずれも無料で実施されます)。簡易査定の結果に過度に期待せず、正式な売却判断は訪問査定後の金額を確認して行いましょう。
最短2週間もあり得るのは“買主がローン審査不要”だから
査定から契約・引き渡しまでの全体の期間は、不動産買取なら短期間で進みます。
例えば、買取を選ぶ場合、手続きは次のような流れで進むことがあります。初日に査定を依頼すると当日~翌日には簡易査定結果の連絡があり、数日以内に訪問査定の日程調整が行われます。
訪問査定の実施後、1〜2日ほどで正式な買取価格の提示があり、条件合意できれば売買契約の締結へ進みます。
決済(代金支払い)と物件の引き渡しは、契約日と同日にまとめて実施するケースもありますが、業者や条件によっては契約から決済まで数日〜1〜2週間程度空けることもあります。
それでも、査定依頼から最短で1〜2週間程度で完了することがあり、一般的にも2週間〜1か月程度で現金化できるケースが多いです。短期間で現金化しやすい理由は、売却相手(買主)が不動産会社で、住宅ローン審査を前提にしないケースが多いためです。
加えて、仲介でよくある「ローン特約(審査に通らなければ白紙解除)」が基本的にないため、売主側は審査結果待ちによる長期化や、解除リスクが起こりにくい点も特徴です。仲介による通常の売却では数か月かかるのに対し、こうしたスピード感と確実性が買取の大きな魅力と言えるでしょう。
| ステップ | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 机上査定 | 当日〜数日 | 概算。ここで決めず訪問査定で判断 |
| 訪問査定 | 数日〜1週間前後 | 最終候補価格(条件調整のベース)が出る |
| 契約〜決済・引渡し | 同日〜1〜2週間 | 業者・条件で変動。売主側は審査待ちになりにくい |
不動産買取価格はどう決まる?評価基準と業者の利益構造

評価は「流通性・建物状態・法的条件」の3軸で決まる
不動産買取の査定では、実務上、次の3点が特に重視されます(*2)。
● 市場流通性
物件の立地や周辺の需要動向、一般的な取引価格などから「市場で売却しやすいかどうか(流通性)」を判断します。
買取価格は、売りやすさ(流通性)によって調整されます。実務では『流通性比率』のような考え方で、売りやすいほど上振れ、売りにくいほど下振れすることがあります。
● 建物の維持管理状況
建物の築年数や構造、現在の状態、過去の修繕履歴など、建物自体の品質や劣化具合を確認します。劣化が強い場合は、再販前提の修繕費やリスクが上乗せされ、査定に反映されやすくなります。
● 再建築・再流通条件
土地の権利関係(抵当権や借地権の有無)、道路への接道状況、法令上の制限など、将来的に建て替えや転売が可能かどうかを確認します。
とくに接道は重要で、建築基準法の接道義務(原則:幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たさないと、再建築が難しく価格が下がりやすくなります。
これらの評価軸に照らし、再販時に支障が少ない物件ほど高い買取額が提示される傾向があります。
一方、流通性に難がある物件では、査定を依頼して「買取を見送られる」「大幅に低い金額になる」ことがあります。
再販戦略が違うと“同じ物件でも査定が割れる”
査定額は、業者の再販戦略(現状転売か、改修して再販か)によって変わります。
買い取った不動産をそのまま転売するのか、リフォーム・リノベーション後に再販するのかによって、提示される買取価格(=査定額)にも差が出ます。
例えば、リフォームして再販売する場合、想定される売却価格から、リフォーム費用や諸経費、保有コスト、そして利益幅を差し引いた金額が買取価格になります。
大規模改修が必要な物件や、買い手が付きにくく長期保有が想定される物件では、その分コストやリスクを見込んで買取価格が低く設定されやすくなります。
一方、人気エリアの物件など再販しやすい物件であれば、他社との買取競争もあり比較的高めの価格が提示されることもあります。売主に提示される金額には、こうした業者側のコストと収益(マージン)が織り込まれている点を理解しておきましょう。
| 考え方 | 中身 | 査定に効くポイント |
|---|---|---|
| 想定再販価格 | 業者が再販で狙える売却価格 | 立地・需要・競合で上下 |
| 差し引かれるコスト | リフォーム費、登記・税金、販売経費、保有コスト、資金調達コスト等 | 建物状態・法的条件が悪いほど増えやすい |
| 利益(マージン) | 再販で確保したい収益 | 戦略(現状転売/リフォーム再販)で幅が出る |
| =買取価格 | 想定再販価格 −(コスト+利益) | 「同じ物件でも査定が割れる」理由 |
不動産買取のメリット|最短日数・現金化・手間削減が強い理由

即現金化できるのは“買主確定+資金決済が早い”から
不動産買取で短期間に現金化しやすいのは、売却先(買主)が不動産会社で最初から確定しているためです。
第三者の購入希望者を探す必要がなく、売却相手が初めから確定しているため、価格合意さえできれば契約と決済に進めます。
また、売却相手が不動産会社の場合、自社資金や事業用の短期資金で決済することが多く、住宅ローン審査待ちになりにくい点も特徴です。
その結果、買取では最短で数日〜1週間程度で現金化できるケースがあり、一般的にも1週間〜1か月程度で手続きが完了することが多いとされています。契約と決済(代金支払い)・引き渡しを同日にまとめて実施する例もあり、その場合は契約日に入金まで完了します。
買い手探しに時間を費やす仲介売却に比べ、途中で契約不成立に終わるリスクも低く、短期間で資金化できる点は大きなメリットでしょう。特に買い替え資金や緊急の資金需要がある場合、不動産買取のスピードは強い味方となります。
現状売却できるのは“改修コストを業者が織り込む”から
不動産買取では物件を現状のまま売却できるため、売主が時間と費用をかけて修繕・リフォームを行う必要がありません。
現状のまま売却しやすいのは、業者側が購入後のリフォームや再販売を前提にしているためです。
例えば、雨漏りや給湯器の故障などがあっても、売主が必ず修繕してから売却しなければならないわけではありません。その分、買取価格には業者側で必要な改修コストが織り込まれますが、売主は手間と負担を大幅に軽減できます。
さらに、買取契約では売主の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を免責とする特約が付くことも多く、引き渡し後のトラブルリスクを抑えやすい点もメリットです。ただし、免責は契約書の特約に基づくため、内容は必ず確認が必要です。
また、売主が把握している重大な不具合を故意に告知しなかった場合などは、免責特約があっても問題となる可能性があります。こうした点を踏まえつつ、築古物件や傷みのある住宅でも売却しやすいのが買取の魅力です。
| メリット | なぜ実現できる?(理由) | 目安・注意点 |
|---|---|---|
| 早い | 買主が不動産会社で確定し、売主側がローン審査待ちになりにくい | 最短数日〜1週間/一般的に1週間〜1か月 |
| 手間が少ない | リフォーム・内覧対応・広告活動が不要になりやすい | 残置物は量や内容で条件が付く場合あり |
| 安心感 | 契約不適合責任を免責とする特約が付くことが多い | 免責は契約書次第/故意の不告知は例外になり得る |
不動産買取のデメリット|価格が下がりやすい具体的理由と注意点

相場との差が広がるのは「売りにくい条件(需要・法的制限)」がある物件
不動産買取では、物件によっては市場相場に比べて買取価格が大幅に低くなってしまうケースがあります。
前述のように買取価格は一般に相場の7~8割程度ですが、物件の種類や状態によってこの差がさらに広がります。
例えば、需要が極端に少ない地方の土地や、利用者の限られる特殊な大型物件などは、再販の見込みが低いため買取価格が相場より著しく低く提示されがちです。
また、築古の木造住宅などは建物の価値が評価されにくく、土地値中心になるケースもあります。木造住宅の法定耐用年数は22年とされ、税務上の減価償却では築22年で帳簿価値がほぼゼロになるためです(※ただし、これは税務上の基準であり、実際の市場価値は立地や維持管理状況によって残る場合もあります)(*3)。
さらに、心理的瑕疵のある物件や再建築不可の物件など、一般の買主が敬遠するような物件では、買取業者でも買い取りを見送るか、極めて低い金額しか提示できないことがあります。
こうした物件を所有する場合、買取を利用すると相場との差額が大きく「損した」と感じやすいため注意が必要です。
| 下がりやすい理由 | 具体例 | なぜ下がる? |
|---|---|---|
| 需要が弱い | 地方の土地/特殊な大型物件 | 再販まで時間がかかり、在庫リスクが高い |
| 建物状態が悪い | 築古/雨漏り/シロアリ等 | 改修費や瑕疵リスクを見込んで差し引かれる |
| 法的・権利の制約 | 再建築不可/権利関係が複雑 | 転売や建替えが難しく、買い手が狭くなる |
| 心理的ハードル | 心理的瑕疵 | 一般の買主が敬遠しやすく流通性が落ちる |
“釣り査定→直前減額”など、査定と契約のギャップが落とし穴
不動産買取は手軽で便利な反面、注意すべき落とし穴も存在します。特に気をつけたいのは、業者から提示される査定額や契約条件に関するトラブルです。
例えば、最初に他社より極端に高い査定額を提示しながら、契約直前や訪問査定後になって「やはり◯◯の修繕が必要」などと理由をつけ、大幅に減額してくる悪質なケースがあります。
同様の被害を避けるためにも、極端に高い提示には根拠(減額条件・費用負担)を必ず確認しましょう。
契約後に撤回しづらいので「条件確認」が最重要
また、本来買取では仲介手数料が不要なはずにもかかわらず、名目を変えて手数料や高額な測量費等を請求してくる例も報告されています。
契約を急かされたり、不明瞭な条件を提示された場合は注意が必要です。買取契約はクーリングオフ(契約撤回)ができないため、一度契約すると基本的に撤回できません。
それにもかかわらず、後から解約しようとすると高額な違約金を請求される事例もあります(*4)。
なお、売買契約後の違約金はケースにより異なりますが、目安として売買価格の10~20%が設定されることもあります。
こうしたリスクを避けるには、必ず複数の業者に査定を出してもらい比較検討し、提示条件を十分に確認したうえで契約判断を行うことが重要です。不明点があれば契約前に質問し、納得できない場合は契約を見送る勇気も必要です。
不動産買取で損しない業者選び|比較基準とチェックポイント

大手と地場は“強みが違う”ため、両方に査定を出すのが安全
買取で損しないためには、信頼できる業者選びが欠かせません。大手業者と地場(地域密着)業者にはそれぞれ特徴があります。
大手に依頼する場合、資金力や対応の安定感があり、スピード対応やサービスが充実している傾向があります。
一方、地場業者に依頼する場合、地元相場や地域特有の価値を査定に反映してもらえることがあります。特に地方物件では、大手が敬遠する案件でも地元業者なら積極的に買い取ってくれることもあります。
逆に、都市部のマンションなど流通性が高い物件は、大手のほうが再販網が広く、条件が良くなるケースもあります。なお、大手を含め、会社によっては自社での直接買取ではなく、提携先の買取業者を紹介する形を取っている場合もあるため、査定依頼時に「買取主体がどこか」も確認しておくと安心です。
業者選びは「買取実績・得意領域・説明の透明性」で決める
ただし、小規模な業者の中には資金繰りが厳しく利益確保を優先するあまり、極端に低い価格を提示する例もあるため注意が必要です。
宅地建物取引業の免許を持つ正規の業者か(行政の免許情報検索で確認できます)、過去の取引実績や口コミで信頼性をチェックし、複数業者を比較して最も条件の良い相手を選ぶことが重要です。
| 比較基準 | チェックするポイント | 見抜けること |
|---|---|---|
| 買取実績 | 同エリア・同種別(マンション/戸建/土地)の買取事例があるか | 相場観がズレていないか |
| 得意領域 | 築古・訳あり・再建築不可などの取扱可否 | 「買える物件/買えない物件」の線引き |
| 説明の透明性 | 成約事例・減額要因・費用項目を具体的に説明できるか | 釣り査定や不明瞭な条件を避けやすい |
| 免許・契約条件 | 宅建業免許の有無、手数料名目、測量費などの負担 | 後出し請求のリスク |
リースバック・買取保証は“目的が別”なので条件比較が必須
リースバックとは、自宅を不動産会社に買い取ってもらい、その後も売主が賃貸借契約を結んで同じ家に住み続けられる仕組みです。
一旦物件を売却して資金を得つつ、転居の必要がないため老後資金確保などによく利用されます。ただし、売却後は家賃を払い続ける必要があるため、その負担を考慮しなければなりません。
また、将来的に買い戻せるオプションが設定されるケースもありますが、条件を事前によく確認することが重要です。買取価格は賃貸期間中の利回りを考慮して低め(市場相場の60~80%程度、一般的には70~80%)になる傾向があります(*2)。
買取保証とは、一定期間は仲介で売却活動を行い、売れなかった場合に不動産会社があらかじめ決めた価格で買い取るサービスです。
高値で売れる可能性を狙いつつ、売れ残りのリスクを避けられる点がメリットです。ただし、保証される買取価格は「相場」ではなく、通常は査定価格の80~90%程度に設定されるのが一般的です。契約条件や保証額を十分に比較検討したうえで利用しましょう。
不動産買取で損しない交渉術|査定額を上げる具体的ステップ

査定前の準備で“減額要因”を潰すと上がりやすい
買取査定額を少しでも上げるには、査定前の事前準備が効果的です。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
● 必要書類の整理
登記簿謄本や権利証、測量図、建築図面、過去のリフォーム履歴などを用意しておきます。
物件の権利関係や境界が明確で、管理状況のわかる資料が揃っていれば、業者も安心して査定額を出しやすくなります。境界未確定・資料不足は減額や条件付きになりやすいため、用意できる範囲で揃えておくのが有利です。
● 室内・敷地の整理整頓
訪問査定前に清掃や不要品の処分を行い、物件をできるだけ良好な状態に見せます。
ただし、買取の査定額は立地・築年数・構造・設備などの客観要素が中心のため、掃除だけで査定額が大きく上がることは多くありません。
一方で、ゴミが多い・汚れが強いなど「再販前の手間が大きい」と判断される状態は減額要因になり得ます。最低限、水回りと玄関まわりを整え、明らかな破損(蛇口の水漏れ等)がある場合は「修理する/しない」を事前に相談できる状態にしておくとスムーズです。
● 相場価格の下調べ
査定額が適正か判断できるよう、自分でも周辺の成約事例や相場を把握しておきましょう。
国土交通省の不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)など公的データを参照し、直近で似た物件がいくらで売れたか調べておくと交渉の材料になります(*5)。
| 減額されやすいポイント | 査定前にできる対策 | 狙い |
|---|---|---|
| 境界・権利関係が曖昧 | 測量図・境界資料、権利証、登記情報を準備 | 条件付き査定や追加費用の発生を避ける |
| 再販前の手間が大きい状態 | 不要品を減らし、水回り・玄関だけ整える | 「大幅減額の口実」を減らす |
| 価格の妥当性が判断できない | 成約事例(公的データ)で相場感を持つ | 交渉の土台を作る |
複数社比較は最強の交渉材料になる
複数の買取業者に査定を依頼して、提示額を比較すること自体が有効な交渉手段になります。
他社の提示額を引き合いに出すことで、業者に競争意識が生まれ、査定額の上乗せや条件改善が引き出せる場合があるからです。
例えば、A社から1,500万円、B社から1,700万円の提示があった場合、A社に「他社では○○万円の提示を受けている」と伝えて再考を促せば、B社に対抗して増額を検討してくれる可能性があります。
このとき、交渉は「感情」よりも「根拠」で進めるのがコツです。口頭で伝えるだけでなく、可能であれば他社の査定結果(条件が分かる範囲)を示し、「どこが違うのか」を質問すると、上乗せや条件調整に入りやすくなります。
査定依頼は、手間とのバランスを考えると3〜5社程度が目安です。最終的に複数社を競わせることで、単独の査定より高い価格で売却できる確率が高まるでしょう。
ただし、不自然に高い査定額を提示する業者には注意が必要です(後で減額される恐れもあります)。提示額だけでなく、査定根拠の説明が具体的か、費用負担や契約条件が明確かも含めて、総合的に判断して売却先を決めましょう。
買取価格が変動しやすい物件の特徴|高値になりやすい/下がりやすい条件

価格を左右するのは「築年数×立地×間取り」の再販しやすさ
不動産買取の価格は、物件の築年数や立地条件、そして間取りなどの属性によって大きく左右されます。
● 築年数
築浅の建物ほど高い評価を受け、築古になるほど価格が下がりやすくなります。
建物の構造やメンテナンス状況にもよりますが、木造戸建では築20〜25年を超えると建物価値が評価されにくく、土地中心の査定になりやすい傾向があります。
一方、マンションは戸建と比べて価値が残るケースもありますが、いずれにしても築年数が進むほど、買取価格は下がりやすくなります。
● 立地
物件の所在エリアや周辺環境も買取価格に直結します。
同じ築年数・広さでも、都心部や駅近など需要が高いエリアの物件は高値になりやすく、逆に過疎地域や利便性の低い場所の物件は大幅な減額要因となります。
● 間取り
部屋数や配置といった間取りの良し悪しも影響します。ファミリー向けの使いやすい間取り(例:3LDKなど)の住宅は再販が容易なため評価が高くなります。
一方、極端に狭いワンルームや部屋数だけ多いような特殊な間取りの住宅は需要が限られるため、買取価格は低く抑えられる傾向があります。
| 要素 | 高値になりやすい | 下がりやすい |
|---|---|---|
| 築年数 | 築浅/管理状態が良い | 築古/修繕負担が大きい(木造戸建は土地中心になりやすい) |
| 立地 | 都心・駅近/需要が強い | 過疎地域/利便性が低い |
| 間取り | 汎用性が高い(例:2LDK〜3LDK) | 需要が限定(極端に狭い/特殊) |
事故物件・再建築不可は“買い手が限定”され大幅減額になりやすい
● 心理的瑕疵物件(いわゆる事故物件)
過去に事件や事故による死亡事例があった物件は、市場で敬遠されるため買取価格も下がりやすくなります。
その程度は事案の内容や周知度によりますが、一般的な中古相場より数割以上安く提示され、場合によっては相場の半額程度となることもあります。
買取業者によってはこうした物件を扱わない場合もあり、買い取ってもらえる場合でも大幅な減額は避けられません。
● 再建築不可物件
建築基準法の接道義務を満たさず新築できない土地上の物件も、需要が極めて限られるため買取価格が著しく低くなります。
再建築不可物件は更地にしても活用が難しく、基本的には現状の建物を使い続けるしかありません。将来的な価値向上が見込めないため業者にとってリスクが高く、買い取りを断られるか、同規模の再建築可能な物件に比べ評価額が大幅に下がることもあります。
こうした特殊な物件は、買取業者選びも限定されるため、市区町村の空き家バンクや専門業者に相談するなど別の売却ルートも検討するとよいでしょう。
まとめ|不動産買取で損しないための最終チェックリスト

不動産買取で損しないために、以下のポイントを最終チェックしましょう。
査定は必ず複数社に依頼する
1社だけの査定で即決せず、最低3社以上(目安は3~5社)の買取業者に査定してもらい、提示額や条件を比較検討する。
業者の信頼性を確認する
宅建業の免許を持ち、実績や口コミで評判の良い買取業者を選ぶ。不安な場合は業者の免許番号を確認し、国の「宅地建物取引業者検索」などで登録情報や行政処分履歴をチェックする。
提示条件を細かく確認する
契約前に、売買価格と支払時期/契約解除条件(違約金・手付解除)/契約不適合責任の扱い(免責の有無)/測量費・残置物処分費など追加費用の負担を確認。不明瞭な費用項目がないか注意する。
安すぎる・高すぎる査定額の理由を吟味する
他社と比べて極端に低い査定額の場合は理由を尋ね、極端に高い場合は後で減額されるリスク(釣り査定)を疑う。査定額に20%以上の差がある場合は、必ず根拠と条件を確認して判断する。
不動産買取で納得できる価格を引き出すには、売主自身が相場観と交渉材料を持つことが大切です。
複数社の提示額や市場相場を踏まえたうえで「最低限この価格なら売る」というラインを明確にし、根拠を示しながら交渉に臨みましょう。買取は仲介より価格が低くなりがちですが、情報と準備次第で条件を最大限有利にできます。
ただし、業者にも利益確保のラインがあるため、希望額を一方的に押し通そうとしすぎないことも円滑な交渉のポイントです。感情ではなく客観的な数字を用いて冷静に話し合うことで、買取でも損をせず満足のいく取引を実現できるでしょう。
もし不動産買取について不明な点があれば、遠慮なく信頼できる不動産会社や専門家に相談し、プロのアドバイスを受けてください。
不動産買取のよくある質問(FAQ)

査定だけ依頼できる?
はい、査定だけの依頼も可能です。
買取査定は基本的に無料で、査定価格を聞いた後に必ず売却しなければならないわけではありません。提示額に納得できなければ売却を見送って問題なく、複数社の査定結果を比較してから判断するのが安全です。
買取業者にとっても査定は営業活動の一環なので、遠慮せず依頼して構いません。査定後は、仲介での売却など別の方法を検討することもできます。査定だけで終わるケースも珍しくありませんので、まずは気軽に確認してみましょう。
複数社に同時依頼はOK?
もちろんです。
複数の買取業者に同時に査定を依頼することに問題はありません。むしろ、複数社の提示額と条件を比較することは、適正価格を知り交渉力を高めるうえで有効です。各社には「他社とも比較検討している」旨を伝えて構いません。
一括査定サイトを使えば一度の入力で複数社に依頼できて便利ですが、短時間に連絡が集中しやすいため、対応できる社数(目安:3~5社)に絞るとスムーズです。不要な連絡は早めに断るなど、やり取りの負担も見込んで進めましょう。
交渉でどこまで上がる?
ケースバイケースですが、上がっても「数%〜」の範囲を想定するのが現実的です。
競合他社の査定額や物件の再販しやすさ次第で、当初提示額から上乗せされることはあります。ただし、買取業者にも収支計画があるため、相場価格並みまで大きく引き上げるのは難しいのが実情です。
現実的には「他社より高い査定が出ているので、条件を合わせてほしい」「費用負担(測量費・残置物処分など)を調整できないか」といった、根拠のある交渉が通りやすい傾向があります。
提示額だけでなく、入金時期や追加費用の負担も含めて総合的に判断しましょう。
出典元
*1 東日本不動産流通機構(REINS):「首都圏不動産流通市場の動向」
*2 国土交通省:「不動産取引に係る新たなサービス形態に関する調査」
*3 国土交通省政策研究所:「住宅の資産価値に関する研究」
*4 国土交通省:「高齢者の自宅売却トラブルに関する注意喚起」
*5 国土交通省:「不動産情報ライブラリ」