不動産投資の基礎知識

空き家をリノベーションするにはいくらかかる?費用の内訳と使える補助金紹介【保存版】

空き家をリフォーム・リノベーションして活用したいと考える人が増えています。とはいえ、「どのくらい費用がかかるのか」「思わぬ出費はないか」「補助金でどれだけ負担軽減できるか」など、不安も多いでしょう。

本記事では、空き家リノベーションの費用相場や内訳を詳しく解説し、費用を左右するポイントやコストダウンのコツ、さらに2025年最新の補助金制度や融資の活用方法までを総まとめします。

正しい費用感を把握して、後悔のない空き家リノベ計画を立てましょう。

目次

  1. 空き家リノベーションの費用相場はどのくらい?
    1. 全国的な平均費用と価格帯
    2. 築年数・構造・広さによる費用の違い
  2. 空き家リノベーションの費用内訳を詳しく解説
    1. 解体・撤去工事費用
    2. 設備交換(キッチン・風呂・トイレなど)
    3. 内外装工事(床・壁・屋根・外壁)
    4. 電気・給排水・断熱改修などの配管・配線工事
    5. 設計費・諸経費・申請費用
  3. 築古物件は意外と高額?コストを左右する4つの要因
    1. シロアリ・雨漏り・傾きなどの補修リスク
    2. 耐震基準の適合性
    3. 間取り変更・断熱性能向上の有無
    4. 地域・職人単価・資材価格の違い
  4. 費用を抑えるコツと注意点
    1. 最初にインスペクション(建物診断)を入れる
    2. 優先順位を決めて工事範囲を調整する
    3. 複数業者から見積もりを取り比較する
  5. 空き家リノベに使える補助金・助成制度まとめ【2025年版】
    1. 国の制度:子育てグリーン住宅支援事業・長期優良住宅化リフォーム推進事業
    2. 自治体の空き家リフォーム補助金・移住支援金
    3. その他:所得税控除・住宅ローン減税など
  6. 補助金申請のポイントと注意点
    1. 着工前申請が基本。タイミングに注意
    2. 工事内容・施工業者の条件を確認
    3. 同時に複数制度を併用できるかチェック
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q1 安くてもフルリノベが必要な物件とは?
    2. Q2 費用面以外で注意すべき点は何がある?
    3. Q3 DIYでどこまでできる?どの程度コストダウンになる?
  8. まとめ|空き家リノベの費用を正しく把握して、後悔のない住まい選びを!

空き家リノベーションの費用相場はどのくらい?

全国的な平均費用と価格帯

まず全国的な空き家リノベーション費用の相場を見てみましょう。フルリノベーションの場合、戸建て全体では約1,000万〜1,500万円程度からが目安です。中古住宅購入者の平均を見ると、購入価格が約2,614万円で、リフォーム費に1,000万円かけても新築購入(首都圏の注文住宅は平均5,406万円)より割安という試算もあります(*1)。

 

また、部分的なリフォームであれば数百万円規模に収まるケースも多く、例えば水回り交換や内装リフォーム程度なら200~500万円前後で済むこともあります。

 

ただし物件の状態によって必要な工事内容は大きく異なるため、一概に平均額だけでは判断できません。

 

築年数・構造・広さによる費用の違い

空き家リノベ費用は築年数や構造、延床面積によっても大きく変動します。築年が浅く劣化が少ない家ほど費用は抑えられ、逆に築古物件はコストが嵩みがちです。

 

目安として築30~40年程度の戸建て全面リフォームで約1,000~2,000万円、築50年以上になると2,000~3,500万円以上かかるケースも珍しくありません(*2)。木造か鉄骨・RC造かといった構造の違いでも、工事の難易度や補強方法が異なり費用差が生じます。また同じ築年数でも延べ床面積が大きいほど材料・手間が増えるため、当然ながら総費用も増加します。

 

地域ごとの物価や職人さんの人件費、資材調達コストなども影響するため、平均以上に費用がかかる場合もあります。物件ごとの状態と条件に応じてケースバイケースと考え、複数の専門家に見積もりを依頼して相場感を把握することが大切です。

 

空き家リノベーションの費用内訳を詳しく解説

総費用の内訳を知ることで、どの部分に費用がかかるのか把握できます。一般的な戸建てフルリノベーション(例:総額2,000万円程度)を想定した場合の主な内訳と割合は次のとおりです。

 

解体・撤去工事費用

まず、リノベーションに伴う解体・撤去費です。既存の内装材や設備を撤去し、必要に応じて構造の一部を解体する作業となります。古い家ほど壁材や床材など廃材の量が多く、処分費もかさみがちです。

 

費用の目安は総額の約10~15%で、例えば2,000万円規模の工事なら200~300万円程度が解体・撤去に充てられることになります。

 

解体範囲が増えると費用も増加するため、不要な間取り変更を避けるなどコスト調整も検討しましょう。

 

設備交換(キッチン・風呂・トイレなど)

リノベーションで費用の大きな割合を占めるのが水回り設備の交換です。キッチンや浴室、トイレ、洗面台などを一新する工事で、設備機器本体の価格と施工費を含みます。一般に総費用の20~30%前後を占め、2,000万円の工事なら400~600万円程度が水回りリフォームに充当されるケースもあります。

 

最新式のシステムキッチンやユニットバスへの更新は快適性を高めますが、その分コスト増となるため、グレード選びによって費用に幅が出ます。設備機器は高級品にこだわりすぎず、コストと性能のバランスを見極めましょう。

 

内外装工事(床・壁・屋根・外壁)

建物の内外装を仕上げる工事も大きな項目です。室内の床・壁・天井など内装工事にはクロス貼替えやフローリング張り、建具交換などが含まれ、全体費用の約15~20%がかかります。

 

古い家では下地の補修を伴うことも多く、追加費用が発生することもあります。一方、屋根の葺き替えや外壁の張り替え・塗装など外装工事にも約10〜20%が充てられるのが一般的です。

 

雨漏りを防ぎ建物を長持ちさせるため外装のメンテナンスは重要ですが、予算に限りがある場合は部分補修や塗装のみで対応するといった優先順位付けも検討可能です。

 

電気・給排水・断熱改修などの配管・配線工事

目に見えないインフラ部分の更新もリノベーションでは欠かせません。まず電気配線や設備の工事では、老朽化した配線の引き直し、コンセントの増設、照明器具やエアコンの新設などを行います。費用は全体の約10~15%で、2,000万円規模なら200~300万円程度が目安です。

 

次に給排水管の交換や設備配管工事も重要です。古い家では錆びた水道管の取り替えや排水管の更生が必要になる場合があり、その分費用に計上されます。

 

また、近年重視される断熱改修(壁や天井への断熱材追加、二重サッシ設置等)にも約10~15%の予算を見込むと良いでしょう。断熱性能を高めることは快適性や省エネ性向上につながるため、可能な範囲で予算内に組み込みたい工事です。

 

設計費・諸経費・申請費用

工事そのもの以外に発生する費用も忘れてはいけません。まず設計監理費ですが、建築士やデザイナーにリノベーションのプランニングを依頼する場合、全体予算の5~15%程度がデザイン料として必要になります。プロに任せることで満足度の高い仕上がりが期待できますが、費用を抑えたい場合は自分でプランを練るか、無料提案サービスを活用する方法もあります。

 

また、各種申請費用(建築確認や補助金申請の手数料など)や、居住中住宅をリフォームする際の仮住まい賃料・引越し費用、さらには不動産取得税・固定資産税なども考慮が必要です。リフォーム工事の直接費用以外にこうした諸経費が発生する点も見落とさないようにしましょう。

築古物件は意外と高額?コストを左右する4つの要因

同じリノベーションでも、物件の条件次第で費用が大きく変わります。特に築古の空き家をリフォームする際、注意すべきコスト要因を4つ解説します。

 

シロアリ・雨漏り・傾きなどの補修リスク

築年数の古い空き家では、一見きれいに見えても内部で劣化が進んでいる場合があります。

 

代表的なのがシロアリ被害や木部の腐食、過去の雨漏りによる構造材の劣化です。こうした問題は実際に解体してみないと全貌が分からず、想定外の補修費用が発生するリスクがあります。床をめくったら土台がスカスカだった、壁を開けたら柱が腐っていた、といったケースも少なくありません。

 

また地盤沈下や基礎の劣化で建物が一部傾いている場合、その是正工事にも費用がかかります。古い家をリノベーションする際は、事前の建物診断で補修リスクを把握し、予備予算(総額の15~20%程度)を確保しておくことが望ましいでしょう。

 

耐震基準の適合性

日本の建築基準法は1981年に耐震基準(新耐震)へ大きく改正されており、それ以前に建てられた住宅(旧耐震)は現行の耐震性能を満たしていない可能性が高いです(*3)。築古空き家をそのまま再生利用するには、この耐震補強工事がほぼ必須となり、大きなコスト要因となります。

 

耐震補強には、基礎の補強、耐力壁の追加、柱・梁の補強金物取付けなどが含まれ、補強内容次第ですが100〜500万円程度の費用が目安です(補助金制度の活用も検討しましょう)。

 

耐震性を確保しないと安心して住めないだけでなく、自治体によっては耐震診断結果の提出を求められるケースもあります。古い物件ほどまず耐震診断を受け、必要な補強範囲を見極めることが重要です。

 

間取り変更・断熱性能向上の有無

リノベーションの内容によっても費用は変わります。特に間取り変更を伴う場合は注意が必要です。

 

壁を撤去して広いLDKにする、水回りの位置を変更するといった工事では、構造補強や配管の引き直しが必要になるためコストが膨らみやすい傾向があります。逆に内装の模様替え程度であれば費用は抑えられます。

 

また断熱性能の向上をどこまで行うかも費用を左右します。壁や床に断熱材を追加施工し、窓をペアガラスや内窓に変える全面的な断熱改修を行えば断熱性能は飛躍的に上がりますが、その分費用も増加します。

 

一方、予算を優先するなら最低限の断熱(例:天井裏と床下だけ断熱材追加)に留める選択もあります。このように快適性向上リフォームの範囲をどうするかで費用総額は変動しますので、優先順位を明確にして計画することが大切です。

 

地域・職人単価・資材価格の違い

リノベ費用には、実は地域差も存在します。都市部と地方では人件費や輸送コストが異なり、同じ内容のリフォームでも地方の方が安く済む場合があります。

 

また、一部地域では空き家再生に対する行政支援や地元業者の特別価格提供などがあり、結果的にコストが抑えられることもあります。

 

さらに職人さんの手間賃(施工単価)や資材価格も時期や地域によって変動します。例えば世界的な木材価格高騰や物価上昇の影響で、近年リフォーム資材費が上がっており、数年前より費用増となっているケースもあります。

 

加えて、仕上げに使用する素材や設備のグレード選びも費用差に直結します。同じリフォームでも、高級フローリングや一流メーカーのキッチンを選べばコストは上振れします。

 

以上のように地域経済や選択素材によって費用幅が生じるため、事前に複数業者から見積もりを取り、コスト比較と内容精査を行うことが肝心です。

 

費用を抑えるコツと注意点

限られた予算内で満足のいくリノベーションを実現するには、いくつか費用を抑える工夫注意点があります。ここでは代表的なポイントを紹介します。

 

最初にインスペクション(建物診断)を入れる

リノベ費用の不確定要素を減らすため、着工前のインスペクション(住宅診断)は有効です。

 

専門の建築士などによる診断を行えば、構造の劣化状況や雨漏り跡、シロアリ被害の有無などを把握できます。費用は戸建ての場合5〜7万円、マンションの場合4〜6万円程度が相場ですが、診断結果をもとに本当に必要な工事や優先度が明らかになるため、不要な工事を省いてコスト削減にもつながります。

 

インスペクションで重大な欠陥が見つかった場合、リフォームではなく建替えや物件購入見送りの判断材料にもなります。空き家を購入してリノベーションする際も、契約前にインスペクションを入れることで大幅な想定外の外出費を防げるでしょう。

 

優先順位を決めて工事範囲を調整する

「やりたいこと全部」を詰め込むと予算オーバーになりがちです。そこで希望するリフォーム内容に優先順位を付けることが重要になります。

 

例えば、耐震補強や雨漏り修繕といった安全に関わる部分は最優先とし、内装の高級化や設備グレードアップは予算に余裕があれば行う、といったメリハリをつけましょう。古い家ほど構造補強や断熱改善など見えない部分への投資が欠かせませんが、その分見える部分のグレードを調整することで予算配分を最適化できます。

 

具体的には、床材を無垢から複合フローリングに替える、造作家具を既製品で代用するなどの工夫が考えられます。やりたいことすべてを一度で完璧にするのではなく、数年後に回せるものは後回しにする柔軟さも持ちましょう。

 

複数業者から見積もりを取り比較する

リフォーム費用の適正価格を知るには、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼するのが一番です。各社で提案内容や金額が異なるため、比較検討することで費用と工事内容のバランスが見えてきます。

 

特に初めて空き家リノベを行う場合、一社だけの見積もりだと相場より高い提示をされても判断がつきません。最低でも2〜3社、可能であれば地元の実績豊富な会社から大手リフォーム会社まで幅広く声をかけてみましょう。

 

ただし単純に一番安い会社に飛びつくのは禁物です。安い理由が工事範囲の不足や材料質の低下によるものだと、後々トラブルや追加費用につながりかねません。各見積もりの工事明細を丁寧に比較し、信用できる業者を選ぶことが大切です。

 

業者選定の際は、空き家再生や耐震補強リフォームの実績が豊富かどうか、補助金申請に対応してくれるか、といった点もチェックしましょう。

 

空き家リノベに使える補助金・助成制度まとめ【2025年版】

古い空き家のリノベーションには公的補助金や税制優遇を上手に活用することで、自己負担を大きく減らすことができます。2025年時点で利用可能な代表的な制度を、国の補助、自治体の補助、税制優遇などに分けて紹介します。

 

国の制度:子育てグリーン住宅支援事業・長期優良住宅化リフォーム推進事業

まず、国土交通省など国が実施する主な補助制度です。

制度名 概要・対象 補助額/補助率 主な条件・注意点
子育てグリーン住宅支援事業
(2025年新制度)(*5)
子育て世帯・若者夫婦世帯の省エネ新築取得、
すべての世帯の省エネリフォームを支援
リフォーム:最大60万円/戸 必須工事が2つ以上に拡大
高断熱窓・高効率給湯器・耐震改修などが対象
住宅省エネ2025キャンペーン 先進的窓リノベ2025:窓・ドア断熱改修
給湯省エネ2025:高効率給湯器設置
窓リノベ:最大200万円
給湯器:最大20万円程度
国の他補助と重複不可
地方補助とは併用可のケースあり
長期優良住宅化リフォーム推進事業(*4) 長寿命化・耐震・省エネ性能向上リフォームを補助 補助率:工事費の1/3
基本上限:80万円/戸
長期優良住宅認定:160万円/戸
加算(若者・三世代同居等):最大+50万円
最大210万円
施工業者の事業者登録と
リフォーム計画の採択が必要

なお、これら国の補助金は他の国費補助との重複受給はできません(同一のリフォーム工事で複数の国補助を受けることは不可)。※地方自治体の補助金とは併用可能な場合があります。

 

自治体の空き家リフォーム補助金・移住支援金

次に自治体独自の補助制度です。各自治体で名称や要件は様々ですが、多くは空き家の改修費用の一部(例えば工事費の1/3)を補助するものです。補助上限額は市区町村によりますが50万円程度が多く、中には地域の少子化対策や移住促進を兼ねて100万円以上の補助を出す自治体もあります。

 

例えば国の空き家対策支援事業と連携して、国から1/3・自治体から1/3の補助を合わせ2/3(上限100万円)補助とするケースもあります(*6)。自治体の補助はその地域に家を一定期間居住することが条件となる場合が多いので、利用前に確認しましょう。

 

また移住支援金も見逃せません。東京圏から地方へ移住して空き家を活用する場合、内閣府の「地方創生移住支援事業」により都道府県と市町村から支援金が支給されます。支給額は一般的に単身で60万円、2人以上世帯で100万円とされており、さらに18歳未満の子どもを帯同して移住する場合は一人につき100万円加算という手厚い措置もあります(*7)。

 

制度名 概要・対象 補助額/補助率 主な条件・注意点
地方創生移住支援事業
(移住支援金)
東京圏から地方へ移住し空き家活用・就業起業等を行う世帯に
都道府県+市町村から支援金を支給。
・単身:60万円
・2人以上世帯:100万円
・18歳未満の子ども1人につき+100万円
・東京23区在住または通勤圏居住要件などあり
・移住後の就業形態や定住期間など細かな条件に注意

例えば4人家族(子2人)で東京から地方へ移住するケースでは、100万円+子ども2人分200万円=合計300万円もの支援金を受け取れる可能性があります。移住支援金の対象要件には「東京23区在住または通勤者が地方に移住」「県のマッチングサイト掲載求人に就職」など細かな条件がありますが、該当する方はぜひ活用を検討しましょう。

 

その他:所得税控除・住宅ローン減税など

国や自治体からの直接の補助金以外にも、税制上の優遇措置によってリノベ費用負担を軽減する方法があります。

 

一つは住宅リフォーム減税(所得税控除)です。耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修など一定のリフォームを行うと、その工事費用相当額の10%が翌年の所得税額から控除されます(*8)。控除額には上限があり、例えば耐震改修なら最大25万円、バリアフリー改修なら最大20万円(いずれも控除期間1年)と定められています。

 

また長期優良住宅化リフォームや三世代同居対応改修等についてもそれぞれ上限25万円の特例があります。これら各種リフォーム減税は工事完了後に確定申告することで適用を受けられます。

 

もう一つは住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の活用です。リノベーション費用をローンで借り入れた場合、新築購入と同様に年末のローン残高の一定割合を所得税から控除できます。現在(令和5年以降)の制度では年末残高の0.7%を10年間控除する形で、年間控除上限14万円・10年合計最大140万円の減税効果があります(*9)。

 

適用には増改築後の床面積が50㎡以上になることや耐震基準適合など要件がありますが、自己資金だけでリフォームするよりローンを組んだ方がトータルで得になる場合もあります。

制度名 概要・対象 控除額/控除率 主な条件・注意点
住宅リフォーム減税
(所得税控除)(*8)
耐震・省エネ・バリアフリー等の一定リフォームを実施した場合、
工事費用の10%を翌年の所得税から控除
上限:
・耐震改修 25万円
・省エネ改修 25万円
・バリアフリー改修 20万円
・長期優良化/三世代同居対応 25万円
・控除期間はいずれも1年
・確定申告が必須
・対象工事の証明書が必要
住宅ローン減税
(住宅借入金等特別控除)(*9)
リフォーム費用をローンで借り入れた場合、
年末ローン残高の0.7%10年間所得税控除
年間上限 14万円
10年合計 最大140万円
・増改築後の床面積50㎡以上
・現行耐震基準適合など技術要件
・確定申告+残高証明書が必要

さらに固定資産税の減額も検討したい制度です。耐震改修を行った住宅は翌年度の固定資産税が半減(120㎡相当部分まで)される特例や、省エネ改修でも固定資産税1/3減額(戸建ては120㎡部分まで)の措置があります。

 

これら税制優遇は申請しないと受けられませんので、工事後は忘れずに手続きを行いましょう。

 

補助金申請のポイントと注意点

せっかくの補助制度も、申請ミスや手続き漏れがあると受給できなくなってしまいます。補助金を確実に活用するために押さえておきたいポイントを解説します。

 

着工前申請が基本。タイミングに注意

ほとんどの補助金制度は工事着工前の申請・交付決定が必須です。事前に申請して交付が決まっていないと、工事が始まってしまった後では補助対象外になるので注意しましょう。

 

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」のように、まず施工業者が事業者登録を行い、リフォームプランを提出して採択された後でないと着工できない仕組みもあります。例えばこの制度では住宅の事前登録完了前に着手した工事は補助対象外と明記されています。

 

補助金を使う場合、契約や工事開始のタイミングにはくれぐれも気を配り、必要な手続きを済ませてから進めるようにしましょう。また申請から交付決定まで時間がかかる場合が多いため、リフォーム計画には余裕を持ったスケジュールを組むことも大切です。

 

工事内容・施工業者の条件を確認

補助金ごとに対象となる工事内容利用できる施工業者に条件があります。

 

例えば子育て支援系の補助では省エネ改修が必須、耐震補助では耐震診断の実施が要件となるなど、制度趣旨に沿った工事でないと補助を受けられません。

 

また施工業者にも、事前に登録・講習を受けていることや一定の資格要件を満たすことが求められる場合があります。先述の子育てグリーン住宅支援事業では、補助を受けるにはあらかじめ登録された「グリーン住宅支援事業者」(リフォーム会社等)と契約して工事を行う必要があります(*10)。「知人に頼んで安く工事しよう」というのでは補助対象外となってしまうわけです。

 

補助金を申請する際は、公式サイトの要件リストを施工業者と一緒に確認し、自分の計画が適合しているかチェックしましょう。要件に合うよう工事内容を調整することで補助を受けられるケースもあるので、申請前に遠慮なく相談することが大切です。

 

同時に複数制度を併用できるかチェック

補助金には併用ルールも存在します。基本的に国の補助金同士は同一内容では併用不可(一つの工事に二重の国費補助は受けられない)です(*11)。ただし地方自治体の補助金については、国費が充当されていない純粋な市町村独自財源のものであれば国の補助と組み合わせて受け取れる場合がほとんどです。

 

例えば国の耐震補強補助80万円と、市の耐震補助20万円を両方活用するといったケースが該当します。また国の補助金でも、対象が明確に異なるもの同士であれば結果的に両方利用できることもあります(例:窓断熱は環境省の「先進的窓リノベ事業」、耐震は国交省の耐震補助といったように工事箇所が重複しなければOK)。

 

このように使える制度は漏れなく組み合わせるのが理想ですが、制度ごとに規定があるため事前に併用可否を確認することが重要です。不明な場合は自治体窓口や事業事務局に問い合わせ、同時申請が可能か確認しておきましょう。

 

よくある質問(FAQ)

最後に、空き家リノベーションに関してよく寄せられる質問とその回答をQ&A形式でまとめます。

 

Q1 安くてもフルリノベが必要な物件とは?

A: 極端に安い空き家は、多くの場合それなりの理由があります。例えば築40~50年以上経過し、長年放置されていた住宅では、フルリノベーション(大規模改修)が前提と考えた方が良いでしょう。

 

内部の給排水管や電気系統、構造体まで劣化していることが多く、結果的に1,000万円超の費用がかかるケースも少なくありません。実際、数十万円~百万円程度で売りに出される古民家でも、住める状態に再生するには2,000万円以上かかった例や、状態が悪すぎて「リフォーム不可(建替え推奨)」と判断されるケースもあります。

 

安い物件ほど購入前に専門家の現地調査を受け、リフォーム費込みで採算が合うか見極めることが大切です。「建物はオマケで土地代だけ」と割り切れる場合以外は、安物買いが高くつくリスクを十分認識しましょう。

 

Q2 費用面以外で注意すべき点は何がある?

よくある失敗例としては、法律面・制度面の確認不足が挙げられます。

 

一例を挙げると、2025年の建築基準法改正により既存不適格建築物の増改築制限が強化される見込みです(*28)。つまり従来リフォームできていた用途変更や増築が法改正後は許可されない可能性があります。

 

もし購入検討中の空き家が違法建築状態(増築部分が無許可など)だと、改修工事自体ができなくなるリスクもあります。このように法的なチェックを怠ると「買ったのにリフォームできない」という最悪の事態になりかねません。

 

また補助金申請の失敗(着工後に申請し補助金を逃す等)も注意点です。費用以外では、信頼できる施工業者選びも重要です。安さだけで業者を選んで手抜き工事に遭った例、デザイン優先で暮らしにくい間取りになった例なども耳にします。費用も大事ですが、それ以上に計画段階の確認や専門家のアドバイスを疎かにしないことが、成功への近道と言えるでしょう。

 

Q3 DIYでどこまでできる?どの程度コストダウンになる?

DIYリフォームはコスト削減に有効ですが、できる範囲は限られます。

 

例えば壁紙の貼り替え簡単な塗装棚やテーブルなど家具の造作程度であれば、材料費と道具代のみで済み、プロに頼むよりはるかに安く仕上げることができます。実際、クロス張替えを自分で行えば数十万円単位の節約になるケースもあります。

 

一方で、電気配線工事や水道工事、構造に関わる工事などは資格や高度な技能が必要でDIYには向きません。また大面積のフローリング張りや外壁塗装なども専門知識と体力が求められ、失敗すると結局やり直しで割高になることもあります。

 

DIYに挑戦する際は自分のスキルと時間で無理なくできる作業に絞ることが大切です。難しい部分はプロに任せ、仕上げの一部を自分で行う「ハーフDIY」的な手法も検討すると良いでしょう。

 

まとめ|空き家リノベの費用を正しく把握して、後悔のない住まい選びを!

空き家のリノベーション費用は物件の状態や工事内容によって千差万別ですが、本記事で述べたような相場観内訳のポイントを押さえておけば大きな判断ミスは避けられるでしょう。

 

築古空き家の場合、購入費用が安くてもリフォーム費用が高額になる可能性があります。したがって「物件取得費+リノベ費」の総額で予算を検討することが重要です。その際、利用できる補助金や減税はフル活用し、資金計画に織り込みましょう。補助制度の手続きは煩雑ですが、その分数十万〜百万円単位で負担軽減できます。

 

また、費用を抑える工夫として事前のインスペクションでリスクを洗い出し、工事範囲の優先度付けやDIYの活用などが有効です。とはいえ、安全性や品質を確保する部分にはお金をかけ、信頼できるプロの力を借りることも大切です。空き家リノベーションは単なる住まい再生に留まらず、自分たちの暮らしをゼロからデザインする楽しみがあります。正しい情報と計画のもと、ぜひ後悔のない住まい選び・家づくりを実現してください。

 

出典元
*1 住宅金融支援機構: 「2022年度 フラット35利用者調査結果
*2 国土交通省:「戸建て既存住宅の流通・活用の促進等に関する調査研究
*3 国土交通省:「住宅・建築物の耐震化について
*4 国土交通省:「令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業
*5 国土交通省: 「子育てグリーン住宅支援事業
*6 国土交通省: 「空き家対策総合支援事業
*7 内閣府: 「地方創生移住支援事業(移住支援金)
*8 国土交通省: 「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について
*9 千葉興業銀行:「「住宅取得に係る借入金の年末残高証明書」のご案内
*10 国土交通省: 「注文住宅の新築
*11 国土交通省: 「住宅省エネ2025キャンペーン事業 よくあるご質問

執筆者

執筆者

高橋 雄太

クールコネクト(株)

取締役

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群馬県前橋市出身。大手投資用マンション販売会社の営業・管理を経て、2025年にクールコネクト株式会社取締役COOに就任。「稼働中物件ナビ」の運営・コラム監修も担当。現場経験をもとに、不動産投資の収益性・リスク・物件選びに役立つ実務的な情報を発信している。

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